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 以前やってたバイト先で知り合った後輩から聞いた話。

 笹本(仮名)という男がいる。昔から、「ぽっちゃり」という言葉ではフォローできないほど太っている。
 中学のとき、好きな人が出来た。「おんなじ高校行こうね」中学3年の春、彼女とそんな会話を交わした。彼女が行きたいと言っていた高校は、笹本くんの偏差値からしてみればけっこうがんばらなければ入れそうにない高校だった。
 笹本くんはがんばった。当然だった。好きな女の子との約束を守るためだったのだから。
 彼のがんばりは徐々に実を結びはじめ、秋も暮れるころになると、担任の先生から「この成績なら○○高も問題ない」と太鼓判を押されるようにまでなっていた。
 
 冬、煙突のついた石油ストーブの周りに仲間たちと集まってだべっていると、彼女がやってきた。
「みんな、高校どこ行くの?」
 俺△△高、俺は××高、あ俺はこいつと同じとこ。次々に行きたい高校の名を挙げていく仲間たち。そこで、突然彼女が
「あ、あたしと同じだね。あたしも××高!」
 そこは笹本くんが狙っていた○○高より偏差値的に2つくらいレベルの下がる高校だった。
 笹本くんは「えっ!?」と思ったらしい。けれど、「えっ!?」と思っただけで口には出さなかったのだという。

 結局、笹本くんは○○高校に入り、彼女は××高校に入った。
 それでも、笹本くんは友だちを通じて彼女の近況を入手し続けていた。周りのかわいい女の子のことを好きになりかけたこともあったけれど、やっぱり最後には中学時代の彼女へと意識は戻っていくのだった。距離を置けば置くほど、彼女への思いは募っていくばかりのように思われた。
 そうして彼は高校2年生になった。
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 今やってるアルバイトの話をもうひとつしようと思う。

 本当にいろんな人がいる。

 やめた人の代わりとして入ってきた、35歳の人がいた。
 初日、彼が話しかけてきた。派遣に登録していろんな職場を渡り歩いている人で、どんな職場を経験してきたか、という話のあと、こう言い出した。

「前の職場でかわいい子見つけてさあ、ひと目惚れしちゃったんだよね。番号とかアドレスとか聞こうと思ってたんだけど、なかなか聞けなくて。もう告っちゃおうと思ってたんだけど、派遣の期間が終わっちゃって、だめだったんだー。でも、ここでもかわいい子いた。なんか、またひと目惚れしちゃったみたい。つきあってくれるかな。っていうか番号とか教えてくれるかな。っていうか、そんな高望みしない、せめて友だちになれたらいいな」
 その話を一緒に聞いていた39歳の人はあとで「あいつ、何しにここに来てんだ」とこぼしていた。

 本当にいろんな人がいる。

 1度だけ隣のセクションの応援に行ったとき、そこにいた人と話した。歳はわからないけれど、五十嵐の近くに住んでいるということで、あの辺の環境についての話が弾んだ。寮の裏手の土建現場で働いていたこともあるらしく「表通りにはかわいい子多いんだけど、なんであっちのほうは、ああいう、垢抜けてない感じの子が多いんだろうね。なんか、勉強!って感じの子ばっかり」「ああ、あっちのほうにあるのは工学部で、ちょうどその反対側に法学部とか人文学部とかのきれいどころが集まる場所があるんですよ」「そっかー、きれいどころかぁー」
 そんな話をしていた。そしたら、「あっちのほうはいいよねー」と言って、僕の働いているほうのセクションを指差した。
「こっちは男だけだけど、むこうは女性がいていいよねー。ま、あんまり若いのはいないけどさ」「そうですねー」「でもさ、ひとりだけかわいい感じの子いるよね。あの子って、どうなの?」


 じつは、ふたりの言っている「かわいい子」は、同一人物を指している。
 彼女は聞くところによると31歳で、もちろん結婚している。かわいいかかわいくないか、と尋ねられれば、確かにかわいいと答えよう。顔が、という意味ではない。むしろ顔は人並みと言ってもいい。ただ、彼女と話しているときに感じる感覚が、大学でとあるかわいい女の子と話しているときの感覚に似ている。そういう意味で、確かにかわいいといえなくもない。

 けどさ、そんなに「かわいいかわいい」って騒がないでほしいんだ。悲しくなるから。泣けてくるから。そんなに騒ぐほどじゃないだろ。大学に来てみろよ。
 だって、彼女をかわいいって表現するなら、大学で歩いてる本当にかわいい女の子のことはどう表現するんだ? 「夢」か?「奇跡」か? そしてその辺を歩いてる男は、そんな女の子たちと普通につきあってるんだぜ? その現実を、あんたらどう認識するんだよ、なあ。

 悲しくなる。吐き気がする。なんだこの格差。

 そして、僕は今そんな「大学生」をやってるんだ。
 たとえば大学の同級生から「田代さん」とか呼ばれると、一抹の寂しさを覚える。歳がだいぶ離れてるから仕方ないこととはいえ、でもやっぱり寂しい。

 だからこそ、ゼミのみんなが僕のことを「田代くん」と呼んでくれるようになったときは、とてもうれしかった。浪人を繰り返して留年を経て突如としてゼミに入ったはるか年上の僕は単なる汚物で、彼らの貴重な大学生活を汚しているのだと自覚するたび、学校をやめたほうがいいのだと、いつだって考えていた。そんな人間のことを、彼らは「田代くん」と呼んでくれた。なにか、とても尊いものをもらった気がした。

 彼らのことを、僕は信頼しきってしまっている。ボケればちゃんとツッコんでくれるし、間違ったことを言えばきちんと訂正してくれる。彼らの言うことを否定してみたりしても、「いやそれは違う」と真っ向から自分の考えを言ってくれもする。

 今年の4月、僕の髪型が角刈りだったころ、ガイダンスに現れた僕を見て噴き出した人がいた。今年の8月、そのころのことを指して、「田代くんが角刈りにしてきたとき、ゼミに衝撃が走った」と言った人がいた。どっちも、僕のことを信頼してくれてないとできない反応だと思う。「田代さん」と呼ばれるような存在のままだったら、きっと陰で笑われるだけで終わっていた。
 田代さん、と呼ばれることは昔から多い。
 初めてバイトをしたのは高1の4月、15歳、近所の回転すし屋。初日、裏口から入った僕をがたいのいい男(すぐあとでたかだか1つ違いの高2だと知る)がくわえ煙草で迎えたり、休憩中、高校生バイトの同僚(といっても、はるかに大人に見えた)と一緒に残り物のさばをつまんでたら、「へー、さば食べれるんだー。あたしだめなんだよね」「俺もだめ。青物って」「わかるー」「でも、さば食べれるやつってクンニうまそうじゃね? なあうまいの?」「え?うまいの? じゃあ今度あたしにやってもらおっかな」とか、そんな会話が周りで沸き起こったりと、オナニーも知らない15歳にはきついようなことがいろいろあったわけだけれど、一度、忙しい厨房で高校生バイトの女の子に「田代さん!」と呼ばれたときが正直、いちばんこたえた。
 言うまでもないけど、職場に15歳未満の人間がいるわけがない。それなのに「田代さん」と呼ばれたとき、はっきりと「弾かれてる」と思った。嫌われてる、とかそういうレベル以前の問題だった。
 それは僕にも原因があった。シャリに酢をうまくからめることができなかったし、声が小さくて厨房じゃ使い物にならなかったし、休憩中だってまともな会話ができなかった。話を聞いてもなにをどう返したらいいのかまったく思いつけなかった。かといって自分からはまったくといっていいほど話さない。
 そういうもろもろが一気に押し寄せ、僕は僕を内心でボロクソに責め始めた。だからバイト先へ足を運ぶのが苦痛でしょうがなくなった。だから2ヶ月でやめてしまった。
 いろんな人がいる。意外な人がはるかに年上だったりする。

 初日、僕と同じセクションの同じ班に配属された人がいた。かりに「山田さん」と呼ぶ。その人は学生に見えた。仲良くなっておこうと思ってこちらから話しかけた。しゃべってるうちに自然とタメ口が出ていた。しばらく話したあとに、「ところで」と切りだして年齢を訊いた。31歳だと言われた。7つ年上といえば、僕が小学校6年生のときに高校3年生で、彼はそのころ進路について悩んでいたのだ。
 27歳の社員は僕のことを「田代さん」と呼び、山田さんのことは「山田くん」と呼んだ。年齢についてお互い教えあうと、その社員は「ああじゃあ俺と大して変わらないんだ」と言った。「同じくらいかな、と思ってたんですよ、落ち着いてるから」。
 彼は以降、僕のことを「田代」「田代くん」とふたとおりで呼び、試行錯誤していたようだったけれど、ときどき「田代さん」とも呼んだ。どうもそっちのほうが収まりがいいらしかった。最近になってようやく「田代くん」で統一がとれてきた感じだ。けれど、山田さんのことは最初から今でもずっと一貫して「山田くん」と呼んでいる。
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