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 以前やってたバイト先で知り合った後輩から聞いた話。

 笹本(仮名)という男がいる。昔から、「ぽっちゃり」という言葉ではフォローできないほど太っている。
 中学のとき、好きな人が出来た。「おんなじ高校行こうね」中学3年の春、彼女とそんな会話を交わした。彼女が行きたいと言っていた高校は、笹本くんの偏差値からしてみればけっこうがんばらなければ入れそうにない高校だった。
 笹本くんはがんばった。当然だった。好きな女の子との約束を守るためだったのだから。
 彼のがんばりは徐々に実を結びはじめ、秋も暮れるころになると、担任の先生から「この成績なら○○高も問題ない」と太鼓判を押されるようにまでなっていた。
 
 冬、煙突のついた石油ストーブの周りに仲間たちと集まってだべっていると、彼女がやってきた。
「みんな、高校どこ行くの?」
 俺△△高、俺は××高、あ俺はこいつと同じとこ。次々に行きたい高校の名を挙げていく仲間たち。そこで、突然彼女が
「あ、あたしと同じだね。あたしも××高!」
 そこは笹本くんが狙っていた○○高より偏差値的に2つくらいレベルの下がる高校だった。
 笹本くんは「えっ!?」と思ったらしい。けれど、「えっ!?」と思っただけで口には出さなかったのだという。

 結局、笹本くんは○○高校に入り、彼女は××高校に入った。
 それでも、笹本くんは友だちを通じて彼女の近況を入手し続けていた。周りのかわいい女の子のことを好きになりかけたこともあったけれど、やっぱり最後には中学時代の彼女へと意識は戻っていくのだった。距離を置けば置くほど、彼女への思いは募っていくばかりのように思われた。
 そうして彼は高校2年生になった。
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