今、とある派遣会社を通じて、江南区の某所で期間限定のアルバイトをしている。
派遣という性格からか、それともそれは関係ないのか、アルバイトの中には1日2日来て顔を見せなくなる人がいる。ひどいのになると初日の朝来て1時間後くらいに体調不良を訴えて早退し、以降音信不通になる人もいた。
そうなるとまた新しい人が派遣されてくるわけなのだけれど、おとといにもまた新しい人が来た。それが例の宗教がらみの「かっこいい男」だった。ちなみに、この日記で彼のことを書いた2日後の出来事だ。
職場のセクションが違ったから今まで話す機会はなかった。だから他人の空似かもしれないと僕は思っていた。けれど今日、たまたま隣のセクションの人員が足りなくなり、僕が応援に回されたとき、彼は「久しぶり!」と話しかけてきた。
彼は「本業?」と僕に訊いた。「本業、というか、まだ学生やってます」と僕は答えた。彼は驚いていた。計算があわないことをよく覚えていたものだと思う。
てっきり彼は大きくなくてもどこかの会社でりっぱな仕事をしてて、彼女ともうまくいっていて、なにごとも順風満帆、小さな不安を抱えながらも大きな悩みは無く日々を暮らしているのだとばかり思っていた。
あのころ、スーツをしっかり着込んで宗教施設で演説をする彼は、内容はともかくとしてかっこよく思えたし、日曜日に僕を呼び出したりしていた彼の私服のセンスに隙は無かった。
派遣の現場に現れたそんな彼は、けれどあのころとはどこかが違って見えた。
茶髪もいれば総白髪もいるし太っている人もいれば極度にやせている人もいる。どう考えてもオカマな人もいるし常に肩をいからせて歩く人もいる。僕より年下にしか見えない31歳がいるかと思えば、僕より年上にしか見えない19歳がいたりする。そんな仕事場に現れた彼はその場にうまく溶け込み、ただの「派遣のおっさん」と化していたように見えた。
老けて見えることがなぜだかとてもショックだった。30歳だというけれど、歳はいくつなんだろう、とかそんな疑問すら感じさせないほどにあのころの彼は輝いていて若々しく見えたのに。
周りに人がいたから、宗教の話はしていない。
彼は僕と同じ高校を出ている。高校卒業後、彼はどういう道のりを辿って今に行き着いているのだろう。まだ、あの宗教を続けているのだろうか。
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