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男性
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1985/01/15
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 昨年、自分の人格に大きな転機を与えてくれた人が言ってた。
「反省した反省した、とか良く言うけど、過ぎたこと、してしまったことを考えてもしょうがない。次しなければいいだけじゃん」
 おっしゃるとおり。まったくもって正論だし、僕もそう思っていた。次こそこういう機会があったら逃さず食らいついていこう。感度を高く保っていよう。
 でも、高校生活や大学生活が2度とやってこないのに気づいたのはじつはつい最近だったりする。ちょっと待てよ、「次」ってなんだよ! おれに「次」なんてもう無いんじゃん、って思った。

 昔、釈由美子主演でドラマ化された『スカイハイ』という漫画があった。死を迎えた人間は三択を迫られる。
「天国で再生を待つか」
「現世を彷徨い続けるか」
「現世の人間を1人呪い殺し、地獄へ落ちるか」

 そうか、生まれ変わりか、とちょっとした啓示を受けた気分になる。だとしたら話は簡単だ。
 タイムマシンかタイム風呂敷が発明されない限り、生まれ変わりを期待するしかない。生まれ変わりには死が必要だが、今すぐに自分の手で死ぬというのはパスだ。つまり、いつかわからないが将来確実にやってくるのを待つしかない。
 なるほど、考えるのもバカらしい。

 
フォト

「もし生まれ変わったらなんて目を輝かせて言ってたくない」
 思考の繋がりで、自転車漕ぎながらひとりB'zのメドレーを歌い始める。
 というのも、もうすっかり日が暮れて、人っ子ひとりどころか車の通りも疎らになってきた。道の両側には林、もしくは人家が連なっている。林と林の間が開けると向こう側が見えるが、はるか遠くを車が通っているのが見えるだけで近くに灯りはまったく無い。自分でもどこを走っているのかよくわからないが、なんとなく西に向かっている気はする。
 道沿いにしばらく行くと、急に看板が出てきて、佐潟にたどり着いたのがわかった。真っ黒な潟を眺めながら休憩を取る。ゼミの先輩がここを卒論の調査地に選んでいたっけ。
 携帯で地図を確認してから再出発。遠くにうっそりと聳える山が角田山らしいので、それを回りこむようなルートを進んでいく。
 30分ほど漕ぐとほんとに久しぶりに人工の光を見つけた。サークルK巻町桔梗が丘店と書いてある。ここで西川町に住む友人に電話。
 家にひとりでヒマしていたらご飯に誘おうと思っていたが、残念ながら仕事場だった。やはり締切り間近で忙しいようだ。友だちからの合コンの誘いも断ったという。電話口から他にも物音が聞こえているから、会社もフル稼働らしい。
 自転車で来ていることを話したら、「きみはいつまで16歳のつもりだい?」というありがたい言葉を頂戴した。16歳の僕は何も考えていなかったから、こんなことしようとするわけない。
 それから簡単に道を教わり、周囲に食事のできるところを紹介してもらった。
 紹介してもらったこまどりで塩バターラーメンを食べ、翌日も仕事だからここらで帰路に着くことにする。

 かの友人とは大学で知り合った。
「いいことばかりじゃないけれど、悪いことばかりでもない」
 CLANE FLYやBLUE HEARTSを歌いながら116号を飛ばす。
 そう、明日も仕事だ。別に僕にしかできないことでは全然ないけれど、それが僕の仕事だ。
 僕のやるべきこと。
「毎日仕事をする」
「借金を返す」
「車を買う」
「仕事を探す」

 やるべきことが多すぎる。
 そういうものを通り越して、なにを過分な望みを抱いていたんだろう、バカらしい。
 向いてないことはやるべきじゃない。その前にやるべきことがあるならなおのことだ。
 
 あー、だけど、きっと僕はまた繰り返す。日常の積み重ねが我慢できなくて、研鑽の日々が停滞に見えて、一足飛びに楽な方へ行こうとする。そうしてそのたびにおんなじ気持ちを抱くのかもしれない。
 それは人間としては間違っている。容易に侮蔑の対象になるだろう。
 しかし笑わば笑え。世の中にはスマートに物事を運べる人がいる。じっくりと脂汗をかきながらもじりじりと目標に近付く人もいる。奇妙な行動を取って人に後ろ指さされながら、目標に対して一途な人もいる。笑われる人もいる。
 でも結果的に何も得られなかった人は、そのじつ、笑われてもいなかったことを僕は知っている。そういう人間にだけは死んでもなりたくない。
 向いてないことはやるべきじゃない? くそったれ、だ。
「終わらない歌をうたおう。明日には笑えるように」

 キキが起きだして、夜更かしの僕をさっそく笑い出した。なるほど、確かにもう朝だ。
 おやすみなさい。
 しかしひでぇ文章だなぁ。
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