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 腹ごしらえをして「みやむら」を出ると、県道21号線を北上して高速道路と合流した。相変わらず川や砂利道、そして慢性的な風に阻まれながらひたすら進む。

 ところで、今回のサイクリングの目的地は二転三転している。
 最初、計画段階では笹川流れを目標にしていた。けれど僕が渋った(そこまでクロスバイクで走りきれるとは思えなかったから)ので、ツーリングマップに書かれていた村上市街の「ポレール」というレストランを目標にすることにした。
 その目的地もまたここに到るまでに変わってしまっていた。
 新発田城跡の土産屋のおばさんの話の中で、「親戚が修行から帰ってきて村上駅前に横文字のレストランを構えた」という情報があった。その話を聞いた段階からじつは僕らの中では目的地はすでに変わりつつあったのだ。
「村上駅前」、そして「横文字の店名」という二つの情報しかないがとくに気にはならなかった。今回のサイクリングの目的は、目的地ではなく、あくまでそこへ向かう過程そのものだったからだ。

 しかし、その過程も北上するに連れどんどん厳しくなっていった。風は市街地を離れるに従い遮るものも無くどんどん強まっていくばかりだし、同じ理由で砂利道の頻度も増していった。
 中条に着くか着かないかといったところで、僕らは一端高速道路から離れることを決断し、少し離れたところを並行して走る県道3号線を走ることにした。
 アスファルトにはなったが、歩道は当然のように無く、路肩も無いか、あってもわずかばかりのもので走るのに気を使った。
 正直自転車を漕いでいるあいだのことはよく覚えていない。いくら漕いでも目的地が近くなったような感じはしない。かといって、普段まったく目の当たりにしない土地を走っている感覚はあって、ずいぶん遠くに来ているような気はした。車の話、自転車の話、共通の友人の話をしながら、僕らはサイクリングを楽しんでいた。
 ただ、このあたりから、僕は自分の自転車から嫌な音が盛んに鳴っているのに気づいていた。チェーンとギア、乾いた金属と金属がこすれるような音がする。チェーンに油を差したのは2日前のことだったが、前日の雨でどうやらすべて流されてしまっていたようだった。
 それに気づいた途端、精神的なものもあって僕の足は唐突に重くなった。道も田園地帯を貫くようになり、ますます風が僕らの自転車の速度を落とした。

 目的地がようやく近くに感じはじめたのは、胎内市に入り、県道3号が高速道の下をくぐって荒川に近づいてからのことだった。
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