この話を後輩から聞いたとき、まるで2ちゃんのできそこないのスレッドみたいだな、と僕は思った。こんなやつ、本当にいるんだな、と思った。
けれど、今の僕は疑いを深くしている。ウソ話は、文章化するとよくわかる。流れ的に、ところどころ辻褄のあわないところが出てきて、そういう綻びを直そうとすると、はっきりと指摘はできないけれど不自然で気持ちの悪い感覚が文章に残る。正直、書いてて苦痛だった。
本当に嘘なのかもしれない。彼は話がうまいから、ネットのどっかから拾ってきた話を捻って、いかにも自分の友だちのことのように話して聞かせただけなのかもしれない。真相はわからない。けど少なくとも、この話は嘘だ、「笹本くん」なんて本当は存在しないんだと考えたほうが、世界がもっと素敵なものに見えるのは確かだ。
彼は「笹本くん」の話を終えたあと、「笹本はだめなやつなんですよ」と言った。
僕はそれにとっさに答えることができなかった。
明らかに「笹本」はだめなやつだった。でも、程度の差こそあれ同じく「だめなやつ」である僕には、そう直接言うのはためらわれた。それで結局、「まあ、俺も人のことは言えないけどさ」なんて答えた。
バイト先で知り合った学校の後輩は、僕の言葉を聞いてちょっと笑ってから、「でも」と言った。
「でも、田代さんはちゃんと大学にいるじゃないですか」
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